「硬筆」カテゴリーアーカイブ

[硬筆書写検定]16 旧字・書写体・歴史的仮名遣い(2)

硬筆書写検定2~1級の理論問題のうち、旧漢字(以下「旧字」)・書写体の読み書き、また1級の歴史的仮名遣いに関する問題について、勉強法を考えていきます。

まず、2級と準1級では旧字を読めるようにしておく必要があります。この問題から考えていくことにします。

旧字は、世代によってはあるていど読めるという人もいると思いますが、ここでは、旧字にほとんど親しんだことがないという若い方々を対象に、勉強法を考えていきたいと思います。

◇◇◇

私がおすすめする方法は、私自身も中学生の頃にそうしたように、旧字表記の小説などを読んで「慣れて」しまうこと、です。

旧字体で書かれた文章の実物をちょっとみてみましょう。

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集英社からかつて出ていた『漱石文学全集』の第1巻『我輩は猫である』の最初のページです。この全集は、最終の版まですべて旧字(と歴史的仮名遣い)表記のまま発刊され続けました。

※岩波書店の『漱石全集』は途中から新字体・現代仮名遣いに変更されたようです。

一部を拡大してみます。

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中学生の頃、私は漱石のいくつかの小説をこの全集で読みました。初版は昭和45年(1970)となっています。いま手元にある本は成人後に神田の古書店街で買い直したもので、昭和54年・第四刷となっています。

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以前にも述べましたが、この頃になってもこのように旧字旧仮名表記の小説などは書店にそこそこ並んでおり、戦後生まれといっても、私―昭和33年(1958)生―くらいの世代では、望めばこういうものを読んで旧字・旧仮名遣いに親しむことができました。

すべての漢字にふりがなで、楽に読める

最初のページに早速「当」「恐」「顔」などの旧字が出てきますが、漢字にはすべてふりがながついているので読むのに苦労はありません。この「すべての漢字にふりがな」というスタイルの読み物は明治以来とても多く、昔の子どもたちは読み物を通じて自然に漢字の読み方を覚えていったわけですね。

歴史的仮名遣いにはすぐに慣れる

漢字だけでなく仮名遣いも現代のものとはいくらか違う歴史的仮名遣いですが、古い言い回しなどはあるものの、使われている言葉は、基本的にいま私たちが使っている現代語とかわりません。だから、たとえば――

「捕まて煮て食とい話である」

――と書いてあるのを文字どおり「ツカマヘテニテクフ~」と読む人は、日本語のネイティブであればまずいないでしょう(笑)。頭の中に響く日本語はちゃんと「捕まえて煮て食うという~」に変換されているはずです。

頭の中での変換に慣れるまで音読してみるといいと思います。昔の人が歴史的仮名遣いの文章を自然に読みこなしていた、その感覚がすぐに身についてくるはずです。

違和感はすぐに消える

旧字・旧仮名遣いで書かれた文章を初めて読むという方は、最初は違和感を感じることと思います。しかし、すぐに投げ出さないで、しばらく我慢してついていってください。その違和感はすぐに消えます。一冊読み終えるまでに?いえいえ、そんなに時間はかかりません。一時間も読んでいるうちに慣れてしまうんじゃないでしょうか。

絶版になっている集英社の『漱石文学全集』ですが、古本ならまだ入手できます。この機会に手に入れて旧字・歴史的仮名遣いに親しんでみられてはいかがでしょうか(^^)

旧字・歴史的仮名使いで書かれた戦後小説もある

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『東京セブンローズ』(井上ひさし・著)

これは、平成11年(1999)に実験的に旧字・歴史的仮名遣いで書かれた小説です。

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こちらは漢字にはほとんどふりがながふられていません。文脈から読めるものも多いと思いますが、上の『漱石文学全集』のようなスタイルのものを読んで旧字に少し慣れてきてから読むといいかもしれません。

次回に続きます。それではまた(^^)/

きょうの自運はお休みします。

自習 書蒼28年8月号 幼年~小3 硬筆

(今月から週2~3回の更新になります。)

『書蒼』学生部の硬筆課題を自習しています。

今回はすべてBの鉛筆で書きました。

幼年

201608『書蒼』幼年硬筆形背

左:お手本  中:形臨  右:背臨

背臨の「み」「か」「こ」が違いますね。

小1

201608『書蒼』小1硬筆形背

左:お手本  中:形臨  右:背臨

やっぱり「み」がちょっとむずかしいです。

小2

201608『書蒼』小2硬筆形背

左:お手本  中:形臨  右:背臨

背臨の「園」、うまくいきませんでした。

小3

201608『書蒼』小3硬筆形背

左:お手本  中:形臨  右:背臨

形背とも「プ」「ル」がちょっと違いました。

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きょうの自運

20160905自運「故郷の空」

硬筆書写検定の解答用紙(コピー)に書いています。

201609秋の夕暮れ

『故郷の空』(作詞:大和田建樹 原曲:スコットランド民謡)

(2)

澄みゆく水に秋萩たれ

玉なす露は すすきに満つ

思へば似たり 故郷の野辺

ああわが弟妹(はらから)たれと遊ぶ

原曲 『Comin Thro’ The Rye(ライ麦畑で出逢ったら)』

それではまた(^^)/

[硬筆書写検定]15 旧字・書写体・歴史的仮名遣い(1)

(今月から週2~3回の更新になります。)

硬筆書写検定2~1級の理論問題では、旧漢字(以下「旧字」)・書写体を読み書きする問題、また1級では歴史的仮名遣いに関する問題が出題されます。

2級の内容からみてみます。

第八問 A 旧字体を読む B 書写体を読む

201609硬筆書写検定2級第七問

右側A列は旧字体、B列は書写体です。この10字を常用漢字で楷書で書く問題になります。

10点×10問で、全問正解で100点という配点です。2級の理論問題は全体で400点で、過去の試験では295点以上で合格しているようです。つまり少なくとも74%ほどの得点が必要です。この問題でもできれば8個以上は正解したいところですね。

準1級では第八問でなく第七問がこの問題になりますが、内容は2級と同様です。

書写体とは

手書きの楷書体には、漢和辞典には載っていないか、載っていても「俗字」とされている異体字があります。「俗字」というといかにも「正式でないもの」という印象がありますが、実はこれらの異体字こそ昔からずっと書かれてきた楷書本来の字形であり、楷書の最高の手本といわれる『九成宮醴泉銘』なども、ほとんどといってよいほど書写体で書かれています。

我が国でも江戸時代までは漢字はすべて書写体で書かれてきました。私たちが現在みるような形になったのは、明治時代以後、漢和辞典などが活字で組まれるようになってからのことだそうです。

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次に1級です。

第七問 A 旧字体を書く B 書写体を書く

201609硬筆書写検定1級第七問

書かせる問題です。2級・準1級と比べてかなりハードルが上がりますね(^_^;

上の問題の解答を載せておきます。

201609硬筆書写検定1級第七問解答

旧字体で新字体と形の異なる漢字は370字余りということです。書写体はちょっと多く、1060字ほどになります。草書体は2000字余りを勉強しなければならないことを思えば少ないですが、それでもかなりの量ですね(^_^;

ちなみに、狩田巻山先生の『ペン字精習・上』に、旧字体370字、書写体1060字の一覧表が付録として掲載されています。

201609ペン字精習上

『ペン字精習 上』(狩田巻山先生・著)

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次に、1級の第十問のBをみておきます。

ちなみにAは常用漢字の間違い探しで、2級や準1級と共通問題になっているようです。問題の形式は3級の同問題と基本的に同じなので、こちらを参照してください。

201609硬筆書写検定1級第十問B和歌二首が活字でしめされます。このうち、歴史的仮名遣いとしてまちがっている部分を指摘せよ、という問題です。問題文には書かれていませんが、全体で5つの誤表記があります。

答え方はこんなふうになります。

201609硬筆書写検定1級第十問B解答

これは、古筆を勉強している人や短歌や俳句をよむ人、また学校で習った古文の内容をよく覚えている人などには何ということもない問題でしょうが、改めて勉強しないと厳しそう……という人もいるかもしれませんね。

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これらの理論問題対策の勉強はどんなふうにしたらいいのか?次回はそのあたりを考えていきたいと思います(^^)

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きょうの自運(幸田文『季節のかたみ』の続きです)

ペン自運「季節のかたみ」BN1-3

20160901ペン自運「季節のかたみ」4

それではまた(^o^)/

書蒼28年8月号 実用書道随意

(9月から週2~3回の更新になります。)

段級に関係なく誰でも競書参加できる「随意」課題の筆ペン部門です。

201608『書蒼』8月号実用書道随意

上:お手本  下:形臨(競書提出済)

今回もセーラーの「ふで和み 本造り(玄)」で書きました。出来はよろしくありません。筆ペンのせいではなく、腕の問題です(^_^;

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これからの生き方を考える

突然ですが、ちょっと重めの話題です(^_^;

高齢化が進み、我が国では要支援・要介護の家族をかかえる家庭というのが当たり前になりつつあるようです。いつか来る日と覚悟はできていましたが、我が家もその例外ではなくなりました。

「介護離職」というものも徐々に社会問題化しつつあるようです。近しい人の中にも、親の介護のために離職せざるを得なかったという人がいます。介護が重い段階になっても働き続けられる――そういう社会になるにはまだまだ時間がかかりそうです。高齢化の急激な進行に世の中の方が追いつけずにいるということなのでしょう。

そういう時代にあって、老いた親をもつ者、また、自分自身がこれから老いを迎えてゆく者はどうしていったらよいのでしょう。このことを考えないわけにはいきません。

まず、利用できる行政サービスはためらわずに利用して、少しでも自分や家族の負担を減らすことを考えるべきでしょう。私も、今回こんな本を買って、少し勉強してみました。

201608『親の入院・介護ですぐやること』

親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと』(太田差惠子・著)

この本を読むと、現状でも行政サービスをフルに利用すれば介護の負担はかなり減らせることがわかります。しっかり情報を収集し、利用できるサービスはどんどん利用していきたいですね。

自分自身は「ピンピンコロリ」をめざす

同時に、こういう時代には、自分の老いにも備えていくことが大切だと思います。

医療政策の専門家の予想では、約20年後の2035年には全ての都道府県が人口減少のステージに入るといいます。同時に65歳以上の高齢者人口・割合が増えていきます。生産年齢人口が減少し、一人の高齢者を二人の現役世代が支えるような社会になってくるのです。

年を取ることの意味が、現在以上に重いものになっていくわけですね。「年をとったら若い世代の世話になればいい」というような甘い(?)考え方は許されない時代になってくるかもしれません。

可能な限り自立に近い高齢者であること――そして、できれば「ピンピンコロリ(死の直前まで元気ですごす)」をめざしたいものです。寝たきりで長患いするような最期は、自分のためにも世の中のためにも、できるだけ避けたいと思う次第です。

そのためには、年をとったからと「楽隠居」などせず、脳も身体も適度に使い続けていくことが必要でしょう。仕事もできるかぎり続ける、世の中と積極的に関わり続ける、適度な運動を心がける――などが大事になるのでしょうね、やはり。

そんなわけで、私の場合は習字と水泳、この二本立てで頑張っていきたいと思っております(^^)

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きょうの自運

20160831ペン自運「旅愁」1

硬筆書写検定の解答用紙(コピー)に書いています。

201608秋の夜

『旅愁』 作詞:犬童球渓(いんどうきゅうけい) 作曲:オードウェイ(Ordway, John P)

(2番)

窓うつ嵐に 夢もやぶれ

はるけきかなたに 心まよう

恋しやふるさと なつかし父母

思いに浮かぶは 杜のこずえ

窓うつ嵐に 夢もやぶれ

はるけきかなたに 心まよう

原曲 『Dreaming of home and mother』

 

それではまた(^^)/

書蒼28年8月号 実用書道

筆ペンの課題です。

201608『書蒼』8月号実用書道

左:お手本  右:形臨(競書提出済)

セーラーの「ふで和み 本造り(玄)」で書いています。

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大腿骨骨折で入院していた老母が退院、帰宅しているのですが、入院前と違って独力では出来ないことがかなり増えてしまっており、生活のいろいろな場面で支援が必要になっています。軽い筋トレなどさせて、少なくとも家の中では杖なしで歩けるくらいに回復させたいと思っているのですが、しばらく時間がかかりそうです。

そんなわけで、9月以降はブログ更新の頻度も少し減らさざるを得ない状況です。これまで週5回更新してきましたが、来月から当分の間、週2~3回の更新ということにさせていただきます。

きょうの自運 はお休みします。

それではまた(^^)/