「古筆」カテゴリーアーカイブ

ペンで散らし書き 8 足引の/田子の浦に

硬筆書写検定1級・準1級の自由問題対策として、ペンで散らし書きの稽古をしています。

きょうは、おととい行書・連綿の勉強で扱った百人一首の歌を散らし書きにしてみます。

201607古筆ペン散らし書き百003-004臨書風景

A5用紙(A4の半分) に書いています。

今回はセーラーのデスクペン、代替わりした新製品を使いました。旧製品のペン先の「なよなよ感」は払拭されていますが、それでもパイロットやプラチナと比べればいくらかしなやかかな?という気もします。書きやすい、いいデスクペンです。インクはコンバーター「極黒」を入れています。

近い価格帯の他社製品との比較では、この製品がもっともバランスがよい感じがします。それと、やはり人気のインク「極黒」が安心して使えるというところ、ポイントが高いですね(^^)

ただ、価格を無視した比較では、やはりパイロットのDPN200Bの方を推します。セーラーは太さが一種類で選べないのに対し、DPN200はM(中字)、F(細)、EF(極細)が選べるところも強いです。

◇◇◇

3. 柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)

足引の山鳥の尾の しだりお(尾)の

  ながゝゝし夜を ひとりかもねん

最初はこれまでどおりの構成です。

201607古筆ペン散らし書き百003-1

あし比支の 山鳥能尾の 志多りお

ゝゝよをひとりかもね

次に、『書ける!かな書道』で紹介されているパターンにならって一つ書きます。今回はこちらです。

201607『書ける!かな書道』P71

『書ける!かな書道―基本から創作へ』(谷蒼涯先生・著)

散らし書きの構成パターンが20種類、掲載されています。

201607古筆ペン散らし書き百003-2

あし比支の 山鳥の尾能 志多りお

ゝゝよをひとりかもね

※変体仮名の構成を一部かえてあります。

2行目の終わり、ちょっとだけ折り返す感じが特徴的ですね。2行目は行末に近づくと文字列が右に流れて、そこに生まれた空間にもぐりこむように3行目の文字が入ってきます。お手本では左の2行も微妙に右に流れているのですが、2行目の処理ばかりに気が行ってしまって、流し忘れました(^_^;

◇◇◇

4. 山辺赤人(やまべのあかひと)

      田子の浦に うち出(いで)てみれば 白妙の

         ふじのたかねに 雪はふりつゝ

  

201607古筆ペン散らし書き百004-1

たこのうらに ういてゝ  への

ふし能多賀 ふりつゝ

201607古筆ペン散らし書き百004-2

田子の浦 ういてゝ  への

ふし能多可 雪八ふりつゝ

これも左側、流せず……(汗)

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きょうの自運

20160722ペン自運「マルチン・ルター」

硬筆書写検定の解答用紙(コピー)に書いています。

楽しい週末をお過ごしください。ではまた(^^)/

書蒼28年7月号 かな半紙

今週の水曜日が『書蒼』7月号の競書提出の締切日でした。普通郵便でたぶん翌日には着くと思うのですが、一日だけ余裕を見て月曜の朝、出勤時に投函する習慣になっています。

かな半紙の課題は初段から四段まで『高野切第三種』の臨書が続きます。7月号は歌番号983を臨書しました。

高野切第三種983形臨

左:『高野切第三種』法帖  右:形臨(競書提出済)

一字だけ新出の仮名がありますが、このブログで一緒に変体仮名を勉強してこられた方なら、読めてしまうのではないかと思います。のちほど「古筆をまなぶ」で読みを勉強する予定です。

なお、この歌は百人一首に入っています。

◇◇◇

今回はペンでも臨書をしてみました。

201607ペンで古筆の臨書

高野切第三種983ペン形臨

できるだけ線の太細を再現したいと思い、つけペンを使いました。タチカワのさじペン(ニューム)「開明 墨の華」を使い、普通紙に書いています。

つけペンはペン先がよく開くので、こういう臨書には向いていますね。また、原書の墨継ぎに合わせて墨継ぎできるのもつけペンならでは。つけペンでの古筆臨書もなかなか楽しいです(^^)

古筆の仮名は(変体仮名を除き)手紙などの現代文の中でも使うことができます。古筆の仮名と連綿を学んでおくことで、伝統にのっとった形の「かっこよく大人っぽい」手紙が書けるようになると思います。古筆の勉強も、自分のふだんの字を育てることに直結しているというわけで、やりがいがあります(^^)

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きょうの自運

20160715ペン自運「サン・テグジュベリ」

硬筆書写検定の解答用紙(コピー)に書いています。

楽しい週末になりますように。それではまた~(^^)/

ペンで散らし書き 7 秋の田の/春すぎて 

硬筆書写検定1級・準1級の自由問題対策として、ペンで和歌の散らし書きの稽古をしています。

きょうは、きのうの百人一首の歌を散らし書きにしてみたいと思います。

◇◇◇

1. 天智天皇

  秋の田の かりほの庵の とまをあらみ

   わがころもでは 露にぬれつつ

まず、これまでどおりの構成で一つ。

201607古筆ペン散らし書き百001-1

秋の多能 のいほ とまあらみ

ころ露にぬつゝ

次に、『書ける!かな書道』で紹介されているパターンにならって一つ書きます。

201607『書ける!かな書道』P70

『書ける!かな書道―基本から創作へ』(谷蒼涯先生・著)

散らし書きの構成パターンが20種類、掲載されています。

201607古筆ペン散らし書き百001-2

前回の検定でも、背伸びせずにこういうすっきりした構成でいけばよかったかなあ……(^_^;

ところで、ちょっと枠がゆがんでます(汗)

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2. 持統天皇

      春すぎて 夏来にけらし 白妙の

         ころもほすてふ あまのかぐ山  

201607古筆ペン散らし書き百002-1

須支て なつ来にらし 白妙の

ころてふ 天能可久

201607古筆ペン散らし書き百002-2

次回の検定は11月、少し時間があるので、分かち書きの構成をもう数パターン、稽古して使えるようにしておきたいと思います(^^)

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きょうの自運

20160712ペン自運「ゲーテ」

硬筆書写検定の解答用紙(コピー)に書いています。

セーラーの筆ペン、「ふで和み」で書いてみました。中字から極細線まで書けて頼りになる素晴らしい筆ペンです。腕がついていけてませんが(^_^;

それではまた(^^)/

古筆をまなぶ 13 高野切第三種 982 わかいほは

『書蒼』6月号のかな半紙課題をよんでおきます。

◇◇◇

201606高野切第三種983わかいほは形臨

左:『高野切第三種』法帖  右:形臨(競書提出済)

これまでこのブログで学んできた変体仮名は通算でちょうど50字になります。一緒に勉強を続けてこられた方なら、少なくとも『高野切第三種』や『粘葉本和漢朗詠集』に出てくる歌は(古文の読解はできなくとも)音読はそう困らずできるレベルに至っていると思います(^^)

今回の歌も、すべて既習の仮名ばかりですね。では、よんでいきます。

いほ みわのやまもと こひし

とふらひきませ てるかと

わかいほは みわのやまもと こひしくは

とふらひきませ すきたてるかと

わが庵は 三輪の山もと 恋しくば

とぶらひきませ 杉たてる門

語釈

いほ 庵(いおり)。粗末な家。自宅を謙遜していう。

とぶらふ 訪ねる

きませ  来+ませ(尊敬の補助動詞)「きてください」

意味

わたしの庵は三輪山の麓

恋しければ訪ねてきてください 杉の木が立っている門を

201606-1 982 三輪山と大神神社

三輪山と大神神社

奈良県桜井市三輪の大神神社は、日本最古の神社といわれています。ここには本殿がありません。三輪山そのものが神の宿る本殿である――ということなのでしょうね。

三輪山は松や杉、檜などに覆われ、山の一木一草すべてが神の宿りたもうものとして尊ばれています。中でも杉は「三輪の神杉」として神聖視され、古来より多くの歌に詠まれてきました。

大神神社は、国内屈指の強力なパワースポットとしても有名です。行ってみた~い!(ノ´▽`)ノ

◇◇◇

さて、これまで「わ」のように見える「り」について繰り返し述べてきました。「わ」のように見える字があったら、とりあえず「り」と読んでみよう――なんて言ってきたのですが、今回は珍しく、「わ」のように見える「わ」(^o^)が出てきました。

201606-1 982「わ」と「り」

左が今回の歌に出てきた「」です。右は前に勉強した歌の一部で「介(けり)」と書かれています。

これまで、形からは区別がつかないとずっと言ってきました。実際こうして比べてみると、やはりほとんど「同じ字」に見えます(^_^;

でも、これまで多くの「『わ』に見える『り』」にふれてきて、たまに本物の「わ」に出会ってみると、やはり微妙な違いはあるのかなあ……という気がしないでもありません(^_^;

「わ」と「り」はやはり形が微妙にちがう?

そこでちょっと考察です。

この二つの仮名が、草書の段階ではどう書かれているのかを、まずみてみることにします。

「わ」の字母は「和」、「り」の字母は「利」ですね。それぞれの草書の形を見比べてみます。

201606-1 草書「わ」と「り」

『新書道字典』(二玄社)より

左の4行が「和」、右の1行が「利」です。

ともに左側は禾(のぎへん)ですから同じ形になります。

問題は右側です。「わ」の方は「口」、「利」は「刂」です。これらの部品の形は、草書の段階では、かな以上に違っています。

「和」の「口」は、筆が平行ぎみに右に進んだあと、やや鋭角的に折り返してくる感じです。一方、「利」の「刂」は、ほんわかと柔らかい右まわりの曲線で描かれているのがわかると思います。

字母のこの違いを意識した上で仮名の方を見ると――、

201606-1 982「わ」と「り」

どうでしょう、仮名になっても「わ」と「り」の収筆部分には、草書時代のそれぞれの面影が微妙に残されている!――ほんとに微妙ですが、やはりそれぞれの字母のイメージが引き継がれている感じがしませんか?

私たちがいま使っている仮名では、「わ」と「り」はまったくちがった形をしています。ために微妙な違いしかない古筆の「わ」と「り」を見てその違いに気がつきにくいのでしょう。しかし、仮名を開発中だった平安びと――字母である漢字のイメージを常に強く意識していた人々――には、はっきりと別の形として意識されていた、のだろうと思います。

たとえば、ひらがなの「へ」とカタカナの「ヘ」のごくごく微妙な違いを私たちが意識できているように。

今回の歌で「わ」に珍しく出会って、ちょっと新発見の気分です(^^)

みずの古筆

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きょうの自運

20160628ペン自運「徒然草38段」

硬筆書写検定の解答用紙(コピー)に書いています。

それではまた~(^^)/

書蒼28年6月号 かな半紙

きょうは『書蒼』6月号の競書提出の締切日です。

毎月の課題に関する記事は競書を投函する前日までにはすべて書いておき、締切後しばらくしてから載せるようにしてきたのですが、今週後半は検定の勉強に時間を費やしたいので、少し早めですが出してしまうことにします(^_^;

◇◇◇

かな半紙の課題は初段から四段まで『高野切第三種』の臨書が続きます。6月号の課題は歌番号982でした。

201606高野切第三種983わかいほは形臨

左:『高野切第三種』法帖  右:形臨(競書提出済)

仮名はすべてこのブログで既習のものばかりです。最初から一緒に勉強してこられた方は簡単に読めてしまうと思いますが、のちほど「古筆をまなぶ」でも勉強する予定です。

◇◇◇

稽古にロール紙を使ってみる

谷先生から、筆ペンのむずかしさは半紙より摩擦抵抗の小さい普通紙に書くというところにもある、というお話を伺った――という記事を少し前に書きました。このお話にヒントを得まして、小筆の稽古にロール紙を使ってみることにしました。

ロール紙は表面がツルツルしていて、半紙と違って筆がするすると滑っていくため、思いどおりの筆運びがなかなかできません。それでうまく書けるようになれば筆遣いが上達する!かも?

――というわけで、稽古に取り入れてみました。

201606ロール紙で稽古1ロール紙をタテに四つに折って、法帖のすぐ横に置いて臨書していきます。こうすると視線の移動がほとんど必要なくて楽ですね(^^)


201606ロール紙で稽古3

ツルツルしていて転折のたびに筆がすべってしまいそうで緊張します。普通の靴をはいて氷の上で踊るような気分(?)。手指の力の入れ具合で筆の動きを何とか制御しながら書いていきます。

201606ロール紙で稽古4

最初は「おっ、おっ、すべるすべる」と面白がっていましたが(笑)、五枚二十回ほど臨書したら、さほど違和感もなくなりました。その上で

201606ロール紙で稽古5

普通のかな半紙に書いてみたところ……、

あ~ら不思議!楽だわ~!すべらないって素晴らしい!摩擦抵抗バンザイ\(^O^)/

ふだんは半紙のもつ摩擦の力にかなりお世話になっているんだなあ、と実感。半紙さん、いつもありがとう!<(_ _)>

ロール紙を使った小筆の稽古、なかなか面白いです。これから古筆は、最初しばらくロール紙で臨書してみることにします。ちょっとまとめ買いしてしまったこともありまして(笑)

それではまた~(^^)/