「楷書」カテゴリーアーカイブ

楷書の基本を学ぶ 2 雨/冂

『書蒼』8月号の競書をきのう投函、きょうから書道生活は新しい月に入りました(^^)

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きょうはまず「雨」の字をみます。

201608楷書基本003「雨」

A 『楷・行・草 漢字筆順字典』(岡田崇花先生・編)より

B 『改定 毛筆三体帖』(狩田巻山先生・著)より

C 『新書道字典』(二玄社)より

今回は別の字典からも字を借りてきました。また、楷書といえばやはり初唐の三大家、というわけで、虞世南・欧陽詢・褚遂良の墨跡も参考にしていきます。

それぞれ比率には若干の差がありますが、どれも中心のタテ画より右側が広くなっています。漢字を目の前に立つ人にたとえると、まっすぐこちらを見ず、こちらから見て少し左の方を向いている――ような構えですね。「」「」なども同様です。

パターン3  「雨」「両」「南」などは右側を広く書く

前回アメカンムリでは、第二画の書き方で錯視が生じ、左半分が長く見えました。そこで右半分を長くしてバランスを取ったわけですが、今回のこれは錯視とは関係がありませんね。理屈はともかく、事実上このような構えで書かれている――というお話です(^^)

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次はこれです。

201608楷書基本004「同」

A 『楷・行・草 漢字筆順字典』(岡田崇花先生・編)より

B 『改定 毛筆三体帖』(狩田巻山先生・著)より

C 『新書道字典』(二玄社)より

(けいがまえ・まきがまえ)の中は、「雨」「両」「南」などと違って中心を通るタテ画はありませんが、やはり右側が少し広く書かれています。

また、タテ画はあるが貫通していない、こういう字でも同様です。

201608楷書基本004「尚」

A 『楷・行・草 漢字筆順字典』(岡田崇花先生・編)より

B 『改定 毛筆三体帖』(狩田巻山先生・著)より

C 『新書道字典』(二玄社)より

比率はいろいろですが、みな右側が広めになっていますね。

パターン4  冂のある字は、右側を広くする。

きょうは以上です(^^)

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きょうの自運

20160816ペン自運「我は海の子」

硬筆書写検定の解答用紙(コピー)に書いています。

201608海

『我は海の子』 作詞・作曲:不詳

(2)

生まれて潮にゆあみして

波を子守の歌と聞き

千里寄せくる海の気を

吸ひてわらべとなりにけり

高く鼻つくいその香に

不断の花のかをりあり

なぎさの松に吹く風を

いみじき楽と我は聞く

それではまた(^^)/

楷書の基本を学ぶ 1 うかんむり/あめかんむり

またまた新企画でございます(^_^)

このところやたらお店をひろげている感じですが、これも整理しておきたかった分野なもので、思い切って始めてしまいます。

まず、本を一冊ご紹介します。

201608『楷書の基本100パターン』

『楷書の基本100パターン』(江守賢治・編)

ペン習字を始めてほどなく購入した本です。楷書を形よく書くための勘どころ100パターンを江守賢治先生(故人)が丁寧に説明してくださっています。習字の入門者には本当にありがたい本で、折にふれて目を通してはいるのですが、しっかり身についている技はまだまだ多くありません(^_^;

そこで、これもブログの連載記事にして確実に内容を消化していこうという作戦であります。これも時間がかかると思いますが、こつこつやっていきたいと思います。

なお、内容は主に江守先生の本に拠りますが、字は自分が習っている書体で学んでいきたいので、岡田崇花先生の字典から引用させていただくことにします。

では、始めてみます(^_^)

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パターン1 うかんむり

201608楷書基本001うかんむり2

大きく書かれている筆ペンのお手本を使わせていただくことにします。

どのウカンムリも左右の長さが均等にそろい、かっこいいですね。

これを拡大印刷して、こんなことをしてみました。

201608楷書コツ001うかんむり3

201608楷書基本001うかんむり

定規をあて、横画の左半分と右半分の長さを測ってみたのですが――、

「宇」では、左半分が16mm、右半分が20mmでした。右が左の1,25倍の長さになっています。「空」は1,27倍、「室」は1,22倍でした。

不思議ですね。左右が同じくらいの長さに見えて、だからバランスよく、かっこよく見えたのだと思うのですが、実際に測ってみると左右の長さがかなり違うのです。

いったいどういうことでしょう。

これは、目の錯覚です。錯視(さくし)とよぶそうです。

錯視の例としては、こんなのが有名ですね。

201608楷書基本001うかんむり(錯視2)

上下、どちらの線が長く見えるか――というのですが、おそらく100人が100人、「下」と答えるのではないでしょうか。

実は二本の線の長さは同じです。ディスプレイに定規をあてて測ってみてください(^^)  両端の矢印の形(方向)が人間の脳に錯覚を起こさせていると思われます。

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さて、文字もつまるところ線と線を組み合わた「図形」ですから、組み合わせ方によっては錯視が生ずる場合があるのですね。

ウカンムリを見るとき、人間の脳はどんな錯覚を起こしているのでしょうか。

まず、ヨコ線のちょうど真ん中に短い線を立ててみます。

201608楷書基本001うかんむり(錯視3)

次に、左端から左下に向かって短い線を垂らしてみます。

201608楷書コツ001うかんむり(錯視6)

――あれ?左が少し長く見えてきた?

右端からも垂らしてみます。これでウカンムリに近い形になりました。

201608楷書基本001うかんむり(錯視4)

――左が少し長い!!

ですよね~。めでたく錯視が起こりました(^^)

左右を同じくらいの長さに見せたければ――、

201608楷書基本001うかんむり(錯視5)

タテ線をちょっと左に移動させます。つまり左半分を短く、右半分を長くしました。これで、左右ほぼ同じ長さに見えるようになります。

あ、ゴマカシは一切していませんからね(笑) 上の図形を↓そのまま並べてみたので、定規をあてて長さを確認してみてください(^^)

201608楷書コツ001うかんむり(錯視)

二画目が左(外)に向けて書かれることで左半分は長く見え、四画目が右(内)向きに書かれることで右は短く見える――ようです。これをバランスよく同じくらいの長さに見せるために――

ウカンムリは右半分を長めに書く

というテクニックが使われていることがわかりました。

めでたしめでたし(^^)

※「窮」「窒」などの「あなかんむり」も同様です。

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パターン2 あめかんむり

アメカンムリも同じパターンです。

201608楷書コツ002あめかんむり

どうでしょう、「雲」「雷」はぴったり1:1くらいに見えますが、いちばん上の「雪」などは、左側が少し長く見えますよね?

これも定規をあててみます。

201608楷書コツ002あめかんむり2

(ノ´▽`)ノ オオオッ 左が少し長く見えた「雪」でさえ、実際は右の方が長かったとは!

比率としては、ウカンムリもアメカンムリも、右半分の長さが左の1,2倍強くらいになっています。人間の目にはこのくらいがバランスよく見えるようですね。

もちろん、こういう数字を頭で覚えているだけではだめで、そう意識をしながら実際に何度も書いて、感覚でつかんでおかなければいけませんが(^_^;

感覚が身について上手に書けるようになったら、こんな数字は忘れてしまってかまわないでしょうが、将来ひとに教えたいという希望がある私は、覚えて語れるようにしておきたいと思います(^^)

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きょうの自運

20160812ペン自運「ふうりん」

硬筆書写検定の解答用紙(コピー)に書いています。

201608風鈴

『風鈴』 作詞: 川路柳虹 作曲:草川信

暑い日が続きます。ご自愛ください。ではまた来週(^^)/