おはなしで学ぶひらがな

51歳でペン習字を始めてから、自分が長年、気づかぬままいろいろなクセ字を書いてきたことを知りました。以前お話しした「み」のほかにも……、

201511癖字の「ん」

「ん」はこんなふうに書いていました。ペン習字でこれを書いて、さっそく先生に直されました。

――(え?半世紀以上、この「ん」を書いてきたんだけど?まちがってたの?ショック……)

201511「ん」

左が、私の書いていた「ん」、真ん中は書写教育で教わる「ん」、右は大人のペン習字でよく出てくる、ちょっとシャープな「ん」です。

下半分の波のような形、が明らかに違いますね。私の「ん」は波の頂上がゆるやかですが、習字で教わる「ん」はとがっています。

言うまでもなく、私の「ん」は活字の影響を受けていました。

201511活字の「ん」左:ゴシック体    中:明朝体    右:教科書体

活字のような「ん」を書いていた私が、学校で先生に注意されたことは一度もありません。習字歴がなければ、先生たちにだって「活字の影響を受けた形」を書いている人がたくさんいたことでしょう。

それどころか、活字のような字こそ「美文字」なんだと思いこんでいる人も、今では少なくないかもしれません。

いつものように字典をみてみますと――、

201511かな字典「ん」二玄社『かな字典』

やはり、書道やペン習字で教えられている「ん」は伝統的な書体をふまえていることがわかります。活字のような「ん」も皆無ではありませんが、大部分はとがった波の「ん」です。活字の「ん」は一体どこからやってきたんでしょうね?

◇◇◇

ワープロなんてこの世になく、今と比べれば達者な手書き文を目にする機会も多かった時代に私は育ちました。

しかし、そんな世代の私でも、きちんと字を習わなかったために、活字めいた、手書き文字としては変な字を平気で書くようになっていたのです。

――子ども時代にちゃんと字を教えてもらっていればなあ。

ま、過去には戻れないし(^^;

それより、子どもたちに教えるときがきたら、ちゃんと指導してあげられないとなあ……そんな思いで書写教育関連の本をいろいろ読んできています。

そんな中から、ちょっと面白い本を紹介させていただきます。

201511ひらがな練習帳『なぞらずにうまくなる 子どものひらがな練習帳』

著者の桂聖(かつらさとし)さんは言います。

――多くの子どもは、ひらがなを上手に書く方法を習っていない。先生もその方法を知らない。いくつかのポイントを押さえて教えることで、どんな子でも短期間に上手にひらがなが書けるようになる。

小学生の低学年くらいのうちに、ひらがなが上手に書けるようになっていれば、こんなによいことはありませんね。

この本では、3段階に分けてひらがなの書き方を教えていきます。

ステップ1 読んで指でなぞる

201511「ん」ステップ1

ステップ2 文字のイメージをストーリー仕立てで覚える

201511「ん」ステップ2

ここが、この本の眼目ですね。お話仕立てで楽しく、文字のイメージが頭によく残ると思います。

ステップ3  リーダーの入ったマスの中で線をどう書くかを学ぶ

201511「ん」ステップ3

何度もご紹介してきている『こくご学習帳』と同じ体裁ですね。

「ん」なら3つのポイントさえ押さえれば、上手に書けてしまいます。

こんなふうに習って、幼いうちにひらがなが上手に書けるようになったら、その子は本当に幸せだと思いますねえ。

私も子ども時代にこんなふうに教えてもらえていたら……と、やっぱり思ってしまいます(^_^)

それではまた(^^)/