[硬筆書写検定]16 旧字・書写体・歴史的仮名遣い(2)

硬筆書写検定2~1級の理論問題のうち、旧漢字(以下「旧字」)・書写体の読み書き、また1級の歴史的仮名遣いに関する問題について、勉強法を考えていきます。

まず、2級と準1級では旧字を読めるようにしておく必要があります。この問題から考えていくことにします。

旧字は、世代によってはあるていど読めるという人もいると思いますが、ここでは、旧字にほとんど親しんだことがないという若い方々を対象に、勉強法を考えていきたいと思います。

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私がおすすめする方法は、私自身も中学生の頃にそうしたように、旧字表記の小説などを読んで「慣れて」しまうこと、です。

旧字体で書かれた文章の実物をちょっとみてみましょう。

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集英社からかつて出ていた『漱石文学全集』の第1巻『我輩は猫である』の最初のページです。この全集は、最終の版まですべて旧字(と歴史的仮名遣い)表記のまま発刊され続けました。

※岩波書店の『漱石全集』は途中から新字体・現代仮名遣いに変更されたようです。

一部を拡大してみます。

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中学生の頃、私は漱石のいくつかの小説をこの全集で読みました。初版は昭和45年(1970)となっています。いま手元にある本は成人後に神田の古書店街で買い直したもので、昭和54年・第四刷となっています。

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以前にも述べましたが、この頃になってもこのように旧字旧仮名表記の小説などは書店にそこそこ並んでおり、戦後生まれといっても、私―昭和33年(1958)生―くらいの世代では、望めばこういうものを読んで旧字・旧仮名遣いに親しむことができました。

すべての漢字にふりがなで、楽に読める

最初のページに早速「当」「恐」「顔」などの旧字が出てきますが、漢字にはすべてふりがながついているので読むのに苦労はありません。この「すべての漢字にふりがな」というスタイルの読み物は明治以来とても多く、昔の子どもたちは読み物を通じて自然に漢字の読み方を覚えていったわけですね。

歴史的仮名遣いにはすぐに慣れる

漢字だけでなく仮名遣いも現代のものとはいくらか違う歴史的仮名遣いですが、古い言い回しなどはあるものの、使われている言葉は、基本的にいま私たちが使っている現代語とかわりません。だから、たとえば――

「捕まて煮て食とい話である」

――と書いてあるのを文字どおり「ツカマヘテニテクフ~」と読む人は、日本語のネイティブであればまずいないでしょう(笑)。頭の中に響く日本語はちゃんと「捕まえて煮て食うという~」に変換されているはずです。

頭の中での変換に慣れるまで音読してみるといいと思います。昔の人が歴史的仮名遣いの文章を自然に読みこなしていた、その感覚がすぐに身についてくるはずです。

違和感はすぐに消える

旧字・旧仮名遣いで書かれた文章を初めて読むという方は、最初は違和感を感じることと思います。しかし、すぐに投げ出さないで、しばらく我慢してついていってください。その違和感はすぐに消えます。一冊読み終えるまでに?いえいえ、そんなに時間はかかりません。一時間も読んでいるうちに慣れてしまうんじゃないでしょうか。

絶版になっている集英社の『漱石文学全集』ですが、古本ならまだ入手できます。この機会に手に入れて旧字・歴史的仮名遣いに親しんでみられてはいかがでしょうか(^^)

旧字・歴史的仮名使いで書かれた戦後小説もある

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『東京セブンローズ』(井上ひさし・著)

これは、平成11年(1999)に実験的に旧字・歴史的仮名遣いで書かれた小説です。

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こちらは漢字にはほとんどふりがながふられていません。文脈から読めるものも多いと思いますが、上の『漱石文学全集』のようなスタイルのものを読んで旧字に少し慣れてきてから読むといいかもしれません。

次回に続きます。それではまた(^^)/

きょうの自運はお休みします。