「もったいない」で損をする――サンクコストのお話

( ̄ー ̄)ゞ ゴロー君、こんにちは。

(´-`)  こんにちは、えーと、失礼ですが、どなたでしたっけ?

( ̄ー ̄)ゞ なんだ、忘れたのかい。かな大字「けこさし」の回でいろいろ指導してあげたじゃないか。

(´-`)  あ、いや……あれは私が他人になったつもりで自分の字にダメ出しをしたもので……。

( ̄ー ̄)ゞ うむ。その、他人になったつもりのキミがわしなのだ。これから別キャラでこのブログにときどき出入りさせてもらうよ。

(´-`)  はあ?ちょっと意味が……。

( ̄ー ̄)ゞ まあいい。わしはシロー。よろしくな。

(´-`)  はあ。よろしくお願いします(なんのこっちゃ)。

◇◇◇

( ̄ー ̄)ゞ 最近キミのブログに「ちょっと書いただけの反故」なんて記事が載っていたね。

(´-`)  ええ、ちょっと書いただけの半紙をそのまま捨てるのはもったいなくて、日曜日に一気にいろいろ書いて、次の日に燃えるゴミで出したんです。

( ̄ー ̄)ゞ キミは、サンクコスト(sunk cost)という言葉を知っておるかね。

(´-`)  ……。

( ̄ー ̄)ゞ 経済学や経営学の用語でな、日本語で言うと「埋没費用」。すでに支払ってしまっていて、もう戻ってくることのないお金や労力、時間などのことをいう。

(´-`)  はあ……。

( ̄ー ̄)ゞ  たとえば、演劇を観に行ったとする。ところがこれが全然おもしろくない。 あくびばかり出てくる。キミならどうするかな。

(´-`)  う~ん、チケット代や交通費がもったいないから、とりあえず最後まで観ますかねえ……。

( ̄ー ̄)ゞ 「もったいない」と言うけど、最後まで観たってチケット代も交通費も戻ってこないだろ。観ても観なくてもお金は返ってこない。

そこは同じなのだから、あくびが出るほどつまらないなら劇場を出て、貴重な時間をほかのことに使う方が賢明な選択だと思わんかな?

(´-`)  はあ、そういうことになります……か。

( ̄ー ̄)ゞ もうひとつ、わかりやすい例を挙げようか。

もうお腹はいっぱいなのに、おかずが残っているとする。「もったいない」と言ってそれを無理に食べてしまう、なんてことがあるよね。これ、合理的な行動といえそうかな?

(´-`)  食べたくないのに無理に食べて、それで太ってダイエットが必要になったり、体をこわしたりしたら意味がないと?

( ̄ー ̄)ゞ というよりだね、おかずの材料費も、調理に使った光熱費や時間もサンクコストだということ。

「もったいない」から今後はおかずの量を少し減らそう、と反省するのはいいが、食べたくないものを無理に食べたところで、かけたコストが戻ってきはしない。

キミの言うように、その行動が余計なコストを生んでしまうこともあるね。

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(´-`)ははあ、おっしゃりたいことがわかりましたよ。先日の「ちょっとだけ書いた反故」も同じだってことですね。

半紙がもったいないからと日曜の8時間を使って書きまくったけれど、そんなことをしようがしまいが、払った半紙代が戻ってこないことに変わりはないと。

そして、8時間という時間と労力の方がもったいないじゃないかと。

( ̄ー ̄)ゞ うん。でもまあ、あれは稽古になってる部分もあるんだろ?

(´-`)  まあ、いくらかは。でも、稽古というならもう少し丁寧に書くべきだったかなあ。反故を消化することばかりに気が行ってましたからねえ。

( ̄ー ̄)ゞ まあいいさ、すんだことだ。問題は今後だな。

大事なことだからもういちど言うよ。

サンクコストというのは、何をどうしてももう戻ってこない、すでに支払ってしまった費用のことだ。

何をどうしても戻ってこない費用なんだから、忘れて新しいことに目を向けていくべきなんだが、人間はなかなかそれができない。

事業が好転する見込みはないのに、大きな金額を投資してしまったからやめられないと言って、赤字を膨らませ続け、結局は莫大な負債を残して倒産、なんて例は枚挙にいとまがない。

(´-`)  はあ、耳が痛いです……。

( ̄ー ̄)ゞ おや経験があるのかね……。まあいい、過去は詮索すまい。とにかく……、

(´-`)  もったいない、損をしたくないと思う気持ちで行動すると、余計に損をしてしまうことが世の中にはたくさんあるということですね。

( ̄ー ̄)ゞ うむ。「もったいない」の呪縛から完全にのがれることはむずかしいが、サンクコストを意識すれば、「もったいない」と言って無駄な行動をとってしまったり、余計に損してしまうようなことは、だんだん減ってくるだろうね。

(´-`)  よくわかりました。勉強になりました。

( ̄ー ̄)ゞ では、また。書道、がんばってな。

(´-`)  ありがとうございます

シロー氏はにっこり笑って、そのまま消えてしまった。

――そこでゴローは目が覚めた。