「明」の来歴を調べてみる

漢字半紙の課題に四苦八苦していますε-(‐ω‐;)

201510「山紫水明」稽古中左:お手本 右:練習中

……が、きょうは書道そのものからは少し離れて、漢字のお話を少ししてみたいと思います。

◇◇◇

今回の課題「山紫水明」の「明」。普通にみる漢字と違って、偏が「日」でなく「目」になっていますね。

――あれ?先生、このお手本、字がまちがってますよ~!

あ~、調べもせずにすぐにそんなこと言っちゃ……、

だめよ~だめだめ

こういうときは、まずは字典にあたって、こういう書き方が古典の中にないか調べてみないと恥をかいてしまうかも(^^;

というわけで、過去に「明」がどんなふうに書かれてきたか、書道字典でみてみます。

角川漢字「明」『角川書道字典』

うは、なんと当たり前のように偏に「目」が使われているではありませんか。どうも元は「目」と書く方が普通だったようです。

――ふ~む。これはちょっと「明」の字の来歴について調べてみたくなるね。

ですよね~。みてみましょう。

201510常用字解「明」『常用字解(第二版)』白川静

漢字の成り立ちや、意味や形の変遷について調べたいとき、こんにち先ずお世話になるのはやはり白川静博士の文字学でありましょう。

ふーん、「目」の前は「囧」(ケイ)だったんですね。窓+月、が本来なのかあ。

半地下式の暗い住居に窓が一つ、そこから月明かりがさしこんでくる――人々はそれを神の訪れとみたてた。

――やっぱり白川博士はすごいなあ。でも、 「囧」が「目」になったあたりのことは書いてないね。

そうなんですよね。で、もう一冊、別の本にもあたってみました。

201510大系漢字明解「明」

『大系漢字明解』 高田忠周

これは篆刻をされる方の間ではよく知られた本のようです。著者は江戸時代末期生まれの書家・漢学者で、明治初期に活躍された方らしいのですが、ご覧のように、なんとすべて毛筆の手書きという、とてつもない労作です。

内容も「へえ!」の連続で、知人が持っているのを読んで欲しくなり、入手しました。

ありました。「囧(ケイ)が目に譌し」たとあります。「譌す」は「かす」と読み、「なまる」という意味になるようです。「囧」の代わりに「目」を書く俗字があとから生まれてきたとのこと。

というわけで、「明」の偏は元来は「囧」(ケイ)だったが、「目」と書く異字体が生まれ、さらに「日」と書く今の形も生まれた――という流れのようですね。

いや~、漢字って

◇◇◇

ちなみにこの「囧」という字、中国語圏のインターネットで顔文字として使われることがあるそうです。日本ではヒザと手をついてがっくりきた形として「Orz」と書き、「失意、がっかり感」をあらわすことがありますね。これが中国語圏では「囧rz」のようになるらしいです(^_^)

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閑話休題

さて、「明」の来歴がわかってきたところで、ついでに小学生向けの漢字辞典はどんな説明をしているか、覗いてみます。

201510小学字典「明」『小学生のための漢字をおぼえる辞典(第四版)』

「明」は2年生で習います。

「日と月を合わせて『明るい』ことをあらわす」――ふむ。白川博士の学説とは違いますが、まあ簡潔でわかりやすくはありますね。

――「山紫水明」の「紫」の方も、調べてみたいね。

そうですね、そっちもちょっと調べてみましょうか。

あ、こんなおしゃべりしてる場合じゃなかった!「山紫水明」の清書にもどらないと(‐ω‐;)

「紫」についてはまた後日ということで、それではまたε= (*ノ´▽`*)ノ