書蒼28年6月号 実用書道

筆ペンの課題です。

201606『書蒼』6月号実用書道

左:お手本  右:形臨(競書提出済)

今回もセーラーの「ふで和み 本造り(玄)」を使用しました。この製品をメインとして、「ぺんてる中字」をサブとして使っております。

以前も書きましたが、書写検定では筆ペンの使用は現在のところ許可されていません。昭和47年(1972)にセーラー万年筆が最初に開発して以来、各社から製品が出ていますが、まだ毛筆の仲間には入れてもらえず、ために毛筆書写検定では使うことができません。

あくまでペンの一種、ということで、筆ペンはペン習字の方の扱いになっています。でも、硬筆書写検定でも今のところ筆記具として使用が許可されていません。硬筆の方でもまだしっかり市民権を得られずにいる、ちょっとかわいそうな存在です(^_^;

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愛用している「ふで和み」と「ぺんてる筆」は、インクの補充方式が異なります。「ふで和み」は使い捨てで、「ぺんてる筆」はカートリッジ方式になっています。

ただ、「ぺんてる筆」は、カートリッジ方式といってもクレタケ製品などとは違う、ちょっと特殊なタイプです。

201606ぺんてる筆ペン4種

ぺんてる筆。左から「中字」「墨液タイプ」「極細タイプ」「朱筆」

カートリッジ方式というと、軸の中にカートリッジがしまいこまれるスタイルを思い浮かべるのが普通だと思いますが、「ぺんてる筆」は、持ち手の軸そのものがカートリッジで、中にインクがつまっています。

201606ぺんてる筆ペン4種2

そして、自然に穂先にインクが浸透してくるのが普通ですが、この筆ペンは、放っておいてはインクが穂先に送られません。

201606ぺんてる筆インクを穂先に送る

軸の部分を指で押して、インクを穂先に送り出してやらなければならないのです。軸はそれなりの硬さがあります。力の入れ具合を微調整することはむずかしく、適量を穂先に送るということがなかなかできません。ほとんどの場合、余分に押し出してしまいます。写真のように、あふれ出てしまうこともよくあります。

そんなわけで……、

201606ぺんてる筆インクを穂先に送る2

インクを穂先に送ったあとは、しばしこうして余分なインクを紙でこすりとって、穂先に含まれるインクの量を調整しなければなりません。ふつうの小筆で硯に穂先をあてて余分な墨を落とすのと同じような手間が必要になるのです。

これ、毛筆を扱いなれている人にはなんということもない手間でしょうが、製品自体がフローを完全制御してくれる「ふで和み」と比べれば、面倒なこと、この上ありません(^_^;

なんのことはない、筆ペンでいちばんむずかしい「フローの調整」を消費者に丸投げしてしまった、単に「墨をすらなくていい」とういうだけの、筆の面倒くささを多分に残した、実に中途半端な製品なのです(笑)

でも、筆ペンでたぶんいちばん売れているのがこの製品なんですよね。どんな小さな文具店でも「ぺんてる筆」がおかれていないことはまずないでしょう。それほどポピュラーな製品になっています。

不完全な製品がいちばん売れている理不尽(笑)

世界最高といってよいインクのフロー制御技術をもったセーラー万年筆が世に出した最初の筆ペンは、書く人がフローのことなど気にする必要のまったくない、万年筆と同等の利便性をすでに備えていました。最初から、筆ペンは完成形として世に出たのでした。

なのに、今では「ぺんてる筆」のような、セーラーに比べれば明らかに「原始的な」、不完全でめんどうな製品の方が、まるで筆ペンの代表選手のような顔をしているのです。

これが私にはちょっと面白くなーい(^_^;

ま、製品はよくても販売力で負けてシェアを拡げられない――世の中、そんな例はままあるわけですが。セーラーは持っている技術のすごさをもっとアピールして販売に力を入れなさい!というしかありません(笑)

「ぺんてる筆」にしか朱筆はない

インクを手送りする際にあふれてしまう――という大きな欠点のある「ぺんてる筆」ですが、穂先は非常によくできていまして、書きやすさは「筆和み」と甲乙つけがたいものがあります。そのため、

めんどくさいけど めんどくさいけど めんどくさいけど!

使い続けております(^_^;

なお、この製品が売れている理由を考えると、用途別にいろいろなタイプをきめこまかく用意してくれている――ということもあると思います。特に、朱筆を用意している会社が、私の知る限りではほかにありません。筆ペンを教える先生方としては、添削のための朱筆では「ぺんてる筆」を使うしかありません。このへんも強いですね。

というか、セーラーももっとシェアを拡げたかったら朱筆を出しなさい!(笑)

ああ、言いたかったことを書いてしまってすっきりしました(^_^;

しかし、世界最高水準の製品を造りながらセールスが今一つ上手くないセーラーって――なんか好きです(^o^)

長々と無駄話、失礼しました<(_ _)>

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きょうの自運

20160627ペン自運「向田邦子」

硬筆書写検定の解答用紙(コピー)に書いています

「ぺんてる筆」のめんどくさいスタイルも、一つの「しあわせな形」ということになるんでしょうか(^^)

それではまた~(^^)/