真草千字文を読む 1 天地玄黄~

硬筆書写検定1級・準1級の受験対策の一環として、草書の名跡を読んでいきたいと思います。

ここではとりあえず「漢字の草書体の粒読みができること」だけをめざします。訓読や現代語訳も付しますが、あくまでも「おまけ」です。

草書の手本としては王羲之の『十七帖』、孫過庭の『書譜』が双絶である――といわれますが、ここでは智永の『真草千字文』を選びました。

201605真草千字文 写真

選んだ理由は――、

  • 肉筆の真跡本が存在する。拓本と違い、線の微細な部分まで観察することができる。
  • 草書と楷書が並べて書かれている(「真草」の「真」とは楷書のこと)ので、読みのチェックがしやすい。
  • 『千字文』をいちど通読したいと思っていた(^^)

といったところです。

千字文(せんじもん)とは

南朝の梁(502-557)の周興嗣 (しゅうこうし) の著。王羲之の筆跡を集め、一千字を重複なしに四言古詩250句にしたものです。中国および朝鮮、日本を含む漢字文化圏で児童のための識字・習字用の教科書として、近年まで広く用いられてきました。陣・隋の智永、唐の欧陽詢、褚遂良らの名跡があります。

智永 『真草千字文』について

智永は南朝の陳から隋の時代にかけて活躍した僧で、王羲之七世の孫です。三十年間に『真草千字文』を八百本余り書き、諸寺に一本ずつ施与していったといいます。

今回みる『真草千字文』は京都・青木家に秘蔵されていたものが国宝に指定されたもので、『中国法書ガイド27 真草千字文』(二玄社刊)によれば――、

智永という落款がないため王羲之の書として奈良朝に舶載され、聖武帝御遺愛品として東大寺に献納され」、「東大寺献物帳に記載される『真草千字文』に該当するもの」との説が「おおむね斯界の認めるところとなっている

とのことです。智永が八百本余を書写したもののうちの

一本がもたらされた可能性はきわめて大」であり、「楷書、草書ともまさに王羲之書法を学ぶ最高のテキストと言うべきである

――とあります。

いつか臨書の勉強をしてみたいものですが、その前に、まずは目習いをしておこうと思います。

四句十六字を毎回よんでいくことにすると、六十数回で終了します。週一回もれなく掲載できても一年三ヶ月ほどかかる計算になりますが、まあもっとかかるでしょう(^_^; これもやはり、受験対策としてだけでなく、自身の素養を深めるため、と思って腰をすえてやるしかありません。

前置きはこのくらいにして、とにかく始めてみます(^^)

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201605真草千字文001-3

テンチゲンコウ ウチュウコウコウ

天地玄黄 宇宙洪荒

あめつちはくろく黄なり おおぞらはおおいにひろし

字義

 「赤または黄を含む黒色/奥深いこと」

 「空間」

 「時間」

 「大きい」

 「茫漠として広い」

意味

天は黒く、地は黄色である。空間と時間は広大で茫漠としている。

欠損部分(参考)

「宇宙洪」が欠損でよく見えません。参考までに小野鵞堂・書『三體千字文』から同じ部分を示します。今後も欠損があれば同じようにしていきます。

201605真草千字文001-1欠損分

ちなみに、欠損のある部分が検定試験で出題されることはないようです。

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201605真草千字文002-3

ジツゲツエイショク シンシュクレッチョウ

日月盈昃 辰宿列張

つきひはみち  かたぶき ほしのやどりはつらなりはれり

字義

盈 「(月が)満ちる」

 「(日が)西に傾く」

 「恒星(ここでは北極星)」 辰宿 「星座」

 「連なる」

意味

月と太陽は満ち欠けし、星座は弓を張ったように連なっている。

欠損部分(参考)

「日月盈」「張」

201605真草千字文002-1欠損分

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最後に読みの練習用に草書部分のみ掲載します。

201605真草千字文001草書のみ

201605真草千字文002草書のみ

とりあえず、こんな感じでやっていってみようかと思います(^^)

それではまた~(^^)/