書道史を学ぶ 6 書聖 王羲之(4) 十七帖

小テスト

すべて実際に硬筆書写検定1級・準1級で出題された問題です。

(問題1)上段の作品の筆者を下段から選んでください。

1 楽毅論   2 高野切  3  寸松庵色紙

A 唐太宗  B 光明皇后  C 紀貫之  D 小野道風

(問題2)次の文章で、正しいと思うものには○、誤っていると思うものにはXをつけてください。

1 『高野切』は、紀貫之がひとりで、一、二、三種と順次書き上げた。(   )

2 『孔子廟堂碑』は虞世南の書で、唐碑の第一といわれるものである。(   )

3 手本を見て書く練習をして、手本を見ないで習ったとおりに書くことを背臨という。(   )

正解は最後に掲載します。

◆◆◆◆◆

きょうは王羲之の草書の書跡をみます。

十七帖』(じゅうしちじょう)

201605『十七帖』

唐の皇帝太宗は王羲之の書を分類整理し、何巻かの巻物に仕上げました。『十七帖』はその一つで、三千通ともいわれる王羲之の尺牘(せきとく―手紙)の中から選ばれた秀作29通が収められています。大半は周憮(しゅうぶ)という友人に宛てた日常的な手紙です。

一通目(写真)の書き出しが「十七日先書……」とあるところから『十七帖』といわれています。

太宗はこの複製を作らせ、官立の最高学府である弘文館の学生に手本として使わせました。現存する刻本は、その複製または臨書から後世になって作られたもので、復刻が重なり真跡の繊細さは失われてしまっているようですが、のちに述べる孫過庭(そんかてい)の『書譜』とともに草書手本の双絶といわれています。

一字一字を区切って書かれています(独草体)が、筆脈はつながり、流れるような筆運びになっています。また、全体に穏やかな書きぶりですが、線の太さや筆圧のかけ方などは変化に富んでおり、洗練された技巧と格調の高さを感じさせます。

◇◇◇

『十七帖』に収められた29通はそれぞれ名がついており、最初に収められたこの手紙は『郗司馬帖』(ちしばじょう)とよばれています。郗というのは王羲之の義弟の名で、司馬は軍事関係の役名です。

短いので全文を読んでみることにします。

 (原文)

  十七日先書 郗司馬未去

  卽日得足下書爲慰  先書以

  具示復數字

 (訓読)

  十七日先書ス 郗司馬未ダ去ラザルニ

  卽日足下ノ書ヲ得テ慰メト爲ス  先書以(すで)ニ

  具(つぶ)サニ示ス 數字ヲ復スルノミ

 (現代語訳)

 十七日に手紙を書いて郗司馬に託しましたが、彼がまだ出発しないうちにあなたからまた手紙をいただき、うれしく思っています。十七日の手紙に詳しく書きましたので、今回はこれでご返事といたします。

――――――

書聖と称えられ、聖人君子のイメージが強い、雲の上の人のような王羲之先生ですが、その手紙を読むと実際の人となりが感じられてぐっと距離感が縮まります。薬について深い知識があったりして相当な知識人であることもわかるのですが、同時に、ごく穏やかで人あたりのいい、好好爺然とした人物像が伝わってきます(^_^

そういえば谷先生も薬剤師をされていましたし、お人柄も王羲之先生に重なるところがあるような(^o^)

◇◇◇

今は検定対策として硬筆で草書を書く稽古を続けており余裕がありませんが、それが一周したらこの『十七帖』や『書譜』で毛筆の臨書稽古もしたいと思っております。

◆◆◆◆◆

小テスト解答

(問題1) 

  1. 楽毅論 ―― B 光明皇后
  2. 高野切 ―― C 紀貫之 (
  3. 寸松庵色紙 ―― C 紀貫之

※ 紀貫之筆」の意味は?

『高野切』や『寸松庵色紙』の法帖に「紀貫之筆」とあります。

201505伝紀貫之

これは「紀貫之が書いたと伝えられている」という意味で、実際の筆者かどうかはわかっていないのですが、過去問を見ると「紀貫之」で正解とされています。

(問題2) 

  1. (  X  )
  2. ( ○ )
  3. ( ○ )

◆◆◆◆◆

「ゴールデンウィーク特集」的に(笑)、書道史の記事を続けてみました。今後は週一回くらいのペースで続きを書いていきたいと思っています。

それではまた(^^)/