古筆をまなぶ 12 高野切第三種 979 きみをのみ

前回までのあらすじ(^^)

越(こし)の国から帰京しました宗岳大頼(むねおかのおおより)さん、深く降り積もる雪を前に意中の女性に告白をいたします。

201603深い雪

「おのがおもひは このゆきのごとくなむつもれる」

(私のあなたへの想いはこの雪のようにつもっています)

これに対して女性の答えは……

高野切第三種978きみかおもひ歌

きみがおもひ 雪とつもらば たのまれず

春よりのちは あらじとおもへば

(あなたの想いが雪のように積もるというなら、あてになりませんわ。

春よりのちは溶けてなくなってしまうと思うので……)

201603平安男性

あっちゃ~ヾ(*^。^*)ノ

――というあたりで前回は終わっております。

しかし、このくらいの言葉にひるんでいては、超肉食系(笑)平安男子の名がすたるのであります。

さて、大頼さん、どんな歌を返すのでしょうか~(^^)/

◇◇◇

201604高野切第三種979きみをのみ形臨

左:『高野切第三種』法帖  右:形臨(競書提出済)

『書蒼』4月号の課題は歌だけの臨書でしたが、『高野切第三種』法帖では――、

201604高野切第三種979きみをのみ詞書付

このようになっています。

――これぜんぶ読めちゃうよね、もう。

はい。このブログで一緒に変体仮名を勉強してこられた方は、未習の仮名は下に見える「八」[ha]だけですから、あっさり最後まで読めてしまうと思います(^^)

へし おより

みをのみ おひこしちの しらやま

いつはゆきの ゆるときある

かへし おほより

きみをのみ おもひこしちの しらやまは

いつかはゆきの きゆるときのある

返し 大頼

きみをのみ 思ひこしぢの 白山は

いつかは雪の 消ゆるときのある

語釈

おもひこしぢの 「思ひ来し」と「越路」を掛ける

越路 越から京へ上る道

白山 富士山・立山とともに日本三名山の一つ。石川県白山市と岐阜県白川村にまたがる。夏でも雪が消えないことで知られる

いつかは雪のきゆるときのある 「か」は反語の助詞。「いつ雪のきえるときがあるだろうか(消えるときはない)」

意味

返し歌  大頼

貴女だけを想いながらやってきた越路のあの白山は

いつ雪の消えるときがありましょうか

201604雪の残る白山

夏の白山

(ノ´▽`)ノ   オオオオッ♪

私の想いはあの白山の雪と同じ。夏になったって溶けて消えることはないのです、と。

夏でも雪の残る白山をここにもってくるとは、さすが歌に命をかける平安男子なのでございました。大頼さん、素敵です。感服<(_ _)>

平安時代、恋愛において和歌の果たす役割はたいへん大きかったようです。女性は御簾(みす)の中にいて、こうして恋人候補の男性と和歌のやりとりをし、相手の和歌の出来によってつきあうか否かを決めたといいます。

さて、この恋は成就したのでしょうか。気になる~。:.゚ヽ(´∀`。)ノ゚.:。 ゜

それではまた~(^^)/