小3課題の「は」で筆が止まる

いつものように『書蒼』の幼年~小学生の毛筆課題の自習を始めたのですが――、

201603『書蒼』3月号小3「はす」
小3のこの課題で「は」の収筆の形をみて、何度も書いてきた形なのに、なぜか今回は筆が止まりました。

岡田崇花先生揮毫のこのお手本の「は」の収筆の形は、以前ペン習字でだいぶ手こずったものです。書いてみるとかなりむずかしい……。その、手こずった思い出がよみがえったのでした。

ひらがなの「は」だけでなく、「波」「支」などを行草書で書くときにも「又」の部分はこれに近い形になることがあります。

これがなかなかうまく書けずにいました。いや、過去形で書くと克服したように聞こえてしまいますね。実は今でも苦手意識が抜けず(^_^;

――でも、苦手だ苦手だと言って逃げててもしょうがない……。

というわけで、このへんで少し立ち止まってみることにしました。この形の来歴を字典で追ってみたら、うまく書くためのヒントが何か得られるかも、なんて淡い期待をもちまして。

201603「波」角川書道字典

『角川書道字典』より

まず、「は」の字母である「波」がどう書かれてきたかを眺めてみます。

要は「波」に含まれる「又」が行書や草書でどう続け書きされてきたかというお話なのですが、純粋な漢字の時点で、お手本の形によく似た姿をすでに見ることができます。

続いて『草仮名字典』をみてみます。

201603「は」草仮名字典

(画像クリックで大きく表示されます。)

元の漢字にすでにあらわれている形なので、漢字の草書から草仮名が生まれ、「かな化」していく過程でもやはりこの形が出てきます。

ところで、谷蒼涯先生にいただいているお手本は――、

201603谷先生の「は」書写書道

収筆の書き方が少し違っているのですが、この形もやはり字典のあちこちに登場します。つまり……、

――「は」の収筆には複数の系統がある

のですね。ちなみに、これも谷先生の揮毫ですが、古筆には

201603谷先生の「は」かな書道

この形もよく出てきます。行書連綿の手紙などにこの形が出てくると実にかっこいい!ので、ふだん一筆箋にちょっと書くときなどにも、けっこう真似しています(^^)

「又」をどう続け書きするかというお話なので、岡田先生の字典でも「又」を含む漢字をいくつかみてみました。すると「支」のところで――、

201603「は」「支」草書

筆ペンで書かれた「支」の草書に、この形が出てきていました。小3課題の「は」の収筆と同じ系統と考えてよいかと思います。

◇◇◇

字典をいろいろと眺めてみて、今回の小3課題の「は」の収筆に近い同系統と思われるもの、そうでないもの、いろいろ臨書してみました。

201603「又」をいろいろ書いてみる

ふむふむ。臨書自体の出来はともかくとして(^_^; こうして伝統的な形をまねて書いていると、過去から現在まで受け継がれてきた文字のDNAのようなものを感じ取ることができる――そんな気がしてきます。

「字なんて読めればいい」という考え方もありましょうが、書道をやるのは、伝統に寄り添いたいという気持ちがあってこそですよね。DNAが破壊されたような、突然変異のような字を自分は書きたくはない――書道人の共通の気持ちではないかと思います。

◇◇◇

書写書道の、二つの「は」。その違いは――、

201603「は」二系統

朱で塗った部分が、上は逆三角形のような形です。下は、ちょっとつり上がった目のような形。逆三角形型とつり目型、と(自分の中では)よんでおくことにします(^^)

将来『書蒼』をお手本に子どもたちに教えようというのですから、お手本が逆三角形でもつり目でも、さっと書き分けられなければなりません。

ところで、こうしてじっくり字典を眺めて「考察」してみることだけで、この字がうまく書けるようになるわけではない――当たり前です(^_^;

ここまでは理屈です。理屈だけではうまく書けるようになりません。やはり繰り返しの稽古が必要であります。

ただですね~、こうやってまず理屈をこねてみるのが好きなんですよ(笑)。そうして頭であるていど納得してから実技に入っていくのが好きなんですね。理屈抜きに体で覚えろ!式の教え方はどうも性に合わないのです(苦笑)。

水泳もそうですね。理屈としてこれこれしかじかなので、こう動くと効率的で早く楽に泳げるんだよ――という感じに、頭を納得させつつ教えてくれるコーチと相性が非常によろしいです(^^)

長くなりましたのできょうはこのへんで。

それではまた~(^^)/