古筆をよむ 5 変体仮名の復習(1)答え合わせ

きのうの問題の答え合わせです(^_^)

変体仮名001-003

読みをひらがなで示し、(  )に字母を示します。

1 (須)  2 (不)  3 (於)

かな字典を眺めていますと、古筆切によって書きぶりがさほど変わらないものと、けっこう変わるものとがありますね。字典でいろいろな書きぶりをみていくと、自分の中でだんだん典型的なイメージというものができあがってくるのではないかと思います。

変体仮名004-006

4 )  5 (可)  6 (那)

5 「可」の第一画はごく短い線、あるいはテンのように書かれますが、これは上の字から下りてくる連綿線に吸収されてしまったり、単純に省略されてしまったりすることがよくあります。連綿の実例をいろいろみておきたい字ですね。

変体仮名007-009

7 (多)  8 (介)  9 (利)

9「わ」に見える「り」が曲者です(^_^; 「利」を字母としながら、私たちには「わ」のようにしか見えない崩され方をしています。

「和」を字母する「わ」とどこかはっきりした違い、見分けの明確なポイントがないか――とずいぶん見比べてみましたが、どうも違いがはっきりしません(^_^;

201602-2変体仮名復習1「わ」『高野切小字典』より

ただ、すでに述べたように古文では「わ」の登場頻度は「り」に比べて非常に低く、古筆の中でこの「わ」のように見える形を見たら、「り」である可能性の方が圧倒的に高い、と思っておいてよいようです。

特に、このように――高野切201511-3自習941-5なみたなりけり

「なみ多那りけ」(なみたなりけり)

文末で「介(け)」や「け」にくっついて出てきたときは、助動詞「けり」と断定してほぼ間違いなかろうと思います。

「わ」を見たら「り」と思え作戦でいきましょう。「り」と読むと言葉として成立しそうにない――というときに限り、「わ」で検討してみるということで(^_^)

変体仮名010-012

10 (能)  11 (徒)  12 (尓)

12の「尓(に)」は、「支(き)」や「よ」と紛らわしい形をしています。見分け方は後述します。

変体仮名013-015

13 (美)  14 (者)  15 (所)

変体仮名016-018

16 (曽) 17 (万) 18  む・も(无)

18の「无(む・も)」は、いま私たちが使っている「ん」そのものですが、平安時代には「む」または「も」と読まれていました。今のような発音の字として意識されるようになったのは、次の鎌倉時代以降のようです。

――「ん」の来歴は調べてみると面白そうなのでそのうち整理してみたいと思っています。「そのうち」とお化けはなかなか出ませんが(^_^;

変体仮名019-019

19 (无)

「无」を字母とする仮名としては18の「ん」の方が典型的で、この形は『高野切第三種』『同・第一種』『粘葉本和漢朗詠集』などに出てくるやや特殊な形のようですが――、

検定の出題指針として、(勉強すべき)基本の古筆は『粘葉本和漢朗詠集』であるとはっきり述べられていますので、この字が出題される可能性は十分あると思います。

変体仮名020-022

20 (勢)  21 (流)  22 (悲)

変体仮名023-025

23 (毛)  24 (支)  25 (春)

25「春(す)」はひらがなで「すて」と書くようなイメージなので「春は衣をすてる」なんていうふうに覚えましたが、お好きな覚え方でどうぞ(^_^)

変体仮名026-027

26 (弖・氐)  27  (世) 

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以上、27字の変体仮名を復習しました。

◇◇◇

最後に――、上に出てきた「尓(に)」と「支(き)」、それに「よ」の三つの仮名は形がよく似ていますが、字母を思い出せば見分けはむずかしくありません。

201602変体仮名「尓と支とよ」

左:尓(に)   中:支(き)    右:よ(与)

タテ線の反り具合なども微妙に違う感じですが、はっきり異なっているのは始筆の部分です。それぞれの字母の形(線の構成)を思い出せば、仮名にもそれがしっかり反映されていることがわかると思います。

仮名を書くときにも常に字母を強く意識していたであろう平安の能筆の方々がこういった部分の筆運びをおろそかにすることはないはずなので、見分けのポイントとしてかなり確実だろうと思います。

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たいへんお疲れ様でした。今後もこつこつ、読める変体仮名を増やしてまいりましょう。

みずの古筆

それではまた~(^^)/